自然な心と身体で

昨今たくさんの方が楽しみのため、健康のため、お稽古事としてバレエのレッスンをしています。その中でプロのダンサーとして活躍する人はほんの一握りで、大多数の方は趣味としてバレエを楽しんでいます。
お稽古事として数年バレエに親しみ、辞めていかれる方もいます。趣味なのだから堅苦しいことは嫌だと思われる方もいます。コンクールで良い成績を上げ評価を得ることに夢中で全国を走り回っている方もいます。
私自身指導させて頂いている生徒さんがバレエ団に入団したりコンクールで結果が出た時などはもちろん嬉しく思いますが、一人ひとりの生徒さんが自分の心や体と正面から向き合いきれいにその人らしく輝いて成長されていく姿には感動をも覚えます。 自分自身の心や体と向き合い続けることは時にはしんどいものですが出来る限りあなたらしく輝くお手伝いをさせて頂きたく思います。


<怪我や体の不調で苦しまないで>

バレエに限らずダンスでの怪我の大半は身体の動かしかたの間違いに起因します。私も幼いころにレッスンで膝半月板を傷めていますが、この間違いには様々な要因が考えられます。 解剖学的な事、先生の教え方、レッスン中の不注意や怠惰等など。幼い頃や若い頃は体に無理な力がかかっていてもなんとか頑張ろうとしてしまいますがこの頑張りは身体に深いダメージを与えることがあります。一度覚えた動き方から抜け出すことは容易いことではありません。
例えば重い箱を移動することを考えてみてください。 よっこらしょ〜 と持ち上げて、 よいしょよいしょ と運んでいるうちに手が痛くなって「もう無理!」箱を下ろして手をブルブル震わせながら 重かった〜 痛い〜 といった経験はありませんか?
手が痛くなる、腕が痛くなる、腰が痛くなる、運んでいるうちに腕が伸びきってしまい手と背中を使ってのけぞって箱を運んでいます。
では持ち方を変えてみましょう。手を箱の下に入れて手首に力を入れて、身体を箱に寄せながら肘を曲げて腕にも力を入れたら胸にも力を入れて箱を持ちげて、お腹と背中に力を入れて身体を起こして足の裏、ふくらはぎ、太ももに力を入れて立ち上がる。 立ち上がったら胸とお腹と腕にと手に力を入れて箱を持って、背中に力を入れて前に倒れないようにして足の裏、足の指でふんばって歩く。こうすると多くの筋肉を使うことになりそれぞれの筋肉の疲労度が少なくなります。
この箱の運び方がバレエの「動き方・動かし方・身体の使い方」=メソッド(テクニック)です。
物を持ったり運んだりするときに身体の色んな筋肉を使ったほうが良いのは知ってるけど疲れてくると出来ないんだ。そうなんです。何も考えないで持ったり、考えていても疲れてくるといつも使っているとこしか使わなくなるんです。 使わない?使えない? 両方ですね。使えなくなってくるから使わない、使わないから使えない。バレエのレッスンではこういった身体の使い方を、順番に、何度も同じことを繰り返します。繰り返すことによって身体が覚えて、意識しないでも出来るようになります。


<何が間違いでどれが正しいの?>

難しい問題です。どう考えても間違っているということはありますがこれが一番正しいんだ!ということはありません。どんなスタイルが好きか?自分の身体に合っているの?ということの方が大切です。


<毎日同じこと繰り返せば上達する?>

ただ単に云われた通りに動きを真似て動いているだけでは上達に限界があります。身体のどの筋肉を使ってどの関節を動かすのかを自分で意識して考えながら動くことが大切です。 といっても最初はどこをどう意識すればいいのかなんて分かりません。意識しなくても動かせるんだからいいんじゃないの? 構いませんが動かし方の応用ができなくなります。 勉強の「基礎問題と応用問題」に似ています。基礎の構造が分かっていなければ丸暗記です。
記憶、記憶の痕跡、ということに関して古今東西研究が盛んで2012年に「記憶が特定の脳神経細胞のネットワークに存在する」という論文が発表されました。(詳しいことは独立行政法人 理化学研究所に日本語の解説があります。)
朝起きたら顔を洗って、着替えをして、ご飯を食べて・・ 何気ない朝の状況で着替えと朝ご飯とどっちが先だっけ?と考えることは少ないと思いますが小さい頃は一つ一つ毎日指示しないとできないことがあります。 習慣と呼ぶこともありますね。お箸の持ち方や食事の時のマナーなど幼い頃から続いている事はなかなか変えられません。 なぜ変えられないのでしょうか?困らないからですよね。では本当に困ったときにはすぐに変えられるのか? 難しいですよね。禁酒、禁煙、ダイエットも意志がないと続きません。 バレエも同じです。一つの動きを意志を持って繰り返すことによって習慣になるようにします。今まで他のテクニックでバレエをしていた人も習慣に頼らず意識して繰り返していると新しいことが習慣になってきます。地味で地道な事ですが、バレエは日常生活ではあまり使われない筋肉や関節も使うので身体を傷つけないためにも大切な事です。又、脳を働かせながら身体を動かすので脳の活性化も充分に期待できます。

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